犬の胃捻転拡張症候群(いねんてんかくちょうしょうこうぐん)の原因と病態

2013年12月27日

こんにちわ。お久しぶりですね。。今年もあと僅か。

年末年始のお知らせはこちらをご覧下さい。「年末年始、お正月の診療時間。(家できる健康チェック)

年賀状書きましたか?今からでしょ。orz

今回は犬の胃捻転拡張症候群に関して少しだけ詳しく説明します。

前回のブログはこちら「お腹がパンパンで苦しそう。犬の胃捻転(いぬのいねんてん)

非常に恐ろしい病気だと言うことは前回の流れで理解頂けたと思います。 もう少し詳しく、掘り下げつつ、少し学術的に。がんばります。

<原因>

確たる原因は不明です。

考えられていることを 挙げます。

①食べ物を食べ過ぎた。空気を飲み込んだ。胃内食査の発酵。(胃が拡張する原因にはなりますが、捻転する理由にはなりません。)

②胃にある筋肉の電位的異常

③胃へ空気や食物が入った後の運動異常(内容物や量により未知の運動が引き起こされる可能性)

④解剖学的素因(胸が深く、狭いタイプの犬)

⑤イレウス、外傷、嘔吐等。

<病態>

胃が拡張し、捻転する事により→大きな血管(後大静脈と門脈)が圧迫される→体を巡る血液量が減る→各臓器がダメージを受ける。

各臓器とは・・・腎臓、心臓、胃、脾臓、小腸、膵臓など。

捻転は文字通り臓器がねじられてしまいます。食道と胃に繋がっている血管系がねじりの影響を多く受けます。

胃への血管がねじりの影響を受けると、胃や脾臓に血液が流れなくなり壊死します。

上記の一連の流れは・・・

膵臓の虚血→「心筋抑制因子(MDF)の放出」

心臓(の冠状動脈)自体への血流減少→「心筋の虚血」

末梢循環不全による組織の虚血によるアシドーシス→「電解質異常」

循環血液量の減少→末梢血管の虚脱→血圧の低下→それに対し顔面蒼白・冷や汗・頻脈といった反応(交感神経異常亢進)→「自律神経失調」

☆これらが原因と なり胃捻転拡張症候群の31~42%に不整脈が 見られます。

そしてこの不整脈が死亡の大きな原因となっています。

次回は死亡の大きな原因となっているもう一つの病態に関して書いていきます。

画像は一度の量が多すぎるご飯です←胃捻転拡張症候群の大きなリスクになり得ますので注意です。

夜間緊急、日曜祝日も診察対応。日進市の動物病院。アニウェル犬と猫の病院の渡邉でした。

<参考文献>

Leib, M.S. and Blass, C.E. (1984) Gastric dilatation-volvulus in dogs : An update. Compend. Contin. Educ. Pract. Vet. 6 : 961-969.

Muir, W.W. and Weisbrode, S.E.  (1982) : Myocardial ischemia in dogs with gastric dilatation-volvulus. J. Am. Vet. Med. Assoc. 181: 363-366.

一度の量が多すぎるのは危険です。

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