犬と猫のタマネギ、ネギ中毒について。(本当の原因物質とは?)
2014年03月11日
かなりのお時間が経過してしまいました。大変申し訳御座いません。
先日もある先生に「ブログ読んでるよー。」と声をかけて頂きました。
また、従兄弟にはブログのネタを提供してもらいました。
ありがたいことです。そしてとてもうれしかったです。そしてこれからも続けていきたいと思いました。(´▽`)و
さてさて、前回までは犬のネギ中毒に関するお話です。すき焼きの「ネギ」を食べ過ぎたワンちゃんのお話でした。
犬がネギ中毒になると、どうなってしまうのか?その1ケースだと思って読んで頂くとよろしいかと思いました。
前回を振り返るにはこちら「犬がすき焼きのネギを食べ大量の血を吐いた。(犬のネギ中毒)」
今回はタマネギ中毒(ネギ中毒)について少し詳しくお話ししていこうと思います。
※「タマネギ」と「ネギ」は同じネギ属に属していますので本稿で表すタマネギ中毒=ネギ中毒と考えて構いません。
<原因>
犬の場合・・・調理された食餌の中にタマネギが入っている事が原因となる事が多いようです。
猫の場合・・・猫はネギの臭いが嫌いなようです。自分から食べることはほとんどないようで、タマネギ中毒の報告例はほとんど無いようです。
★ 犬は雑食性、猫は完全肉食性という食生活の違いも関係しているようです。
試験管内における実験で、タマネギの成分による赤血球への感受性の順序は・・・猫の赤血球がトップ。次いで犬、草食性の家畜動物、齧歯類、人という順番だったというデータがあります。
<原因物質>
タマネギに含まれる「有機チオ硫酸化合物」というなんやらよくわからない物質です。三種類有ります。
sodium trans-1-propenylthiosulfate
sodium cis-1-propenylthiosulfate
sodium n-propylthiosulfate
これらの三つが「有機チオ硫酸化合物」のカテゴリーに当てはまります。
~以下補足~
★僕が学生の頃の教科書には「タマネギ中毒の原因物質はアリルプロピルジスルフィド allyl propyl disulfide」という物質であるとされ、そう教わりました。
しかし実際は、ある論文で「アリルプロピルジスルフィド allyl propyl disulfide」が原因物質らしいが、それ自体を入手することができず、組成が近い物質(n-propyl disulfide)で犬に貧血を起こすことに成功した事が一人歩きし。その結果タマネギ中毒の原因は「アリルプロピルジスルフィド allyl propyl disulfide」である。となってしまったようです。そして長らく間違ったことがまかり通っていたようです。
★タマネギ自体にallyl基を有する化学物質はほとんど含まれていません。また、n-propyl disulfideは揮発性成分のため、調理後の濃度は著しく下がるはずなのに、調理後の料理を食べた犬でも中毒になることから矛盾が生じます。
次回に続く。
夜間緊急、日曜祝日も診察対応。日進市の動物病院。アニウェル犬と猫の病院の渡邉でした。