犬のタマネギ中毒とネギ中毒について。(治療と印象に残った事)
2014年03月30日
ようやくタマネギ中毒に関してのブログの続きです。気がついたらサクラが咲いていました。
前回までの「原因物質について」と「貧血が起こるメカニズム」については非常に難解なお話でした。
今回はタマネギ中毒ネギ中毒の治療と調べていて印象に残った事に関してご紹介します。
少しは読みやすいかと思います。
<治療に関して>
タマネギ中毒・ネギ中毒の原因物質である「チオ硫酸化合物」の解毒薬はありません。よって対処療法がメインになります。
摂取してからの時間が短ければ、催吐処置にて胃内容物と共にタマネギ・ネギを吐かせます。
時間が経過している場合は、輸液、ビタミンE,Cを赤血球膜への酸化反応を抑える抗酸化剤として。
活性炭の投与は結腸でチオ硫酸化合物の吸着に役立つ可能性があります。
ステロイドの使用に関してはまだ十分な議論がされていません。
<その他気づいたことやよくある質問>
①加熱して臭いが無くなっても中毒になるのか?
揮発成分は「n-propyl disulfide」です。中毒を起こす物質は「有機チオ硫酸化合物」ですので臭いは関係有りません。
②ニンニクは与えて良いのか?
ニンニクもネギ属です。オーストラリアの文献でニンニクで犬が中毒になった事を証明したものがあります。
しかし、ニンニクは体に良いことも分かっています。また毒性成分である有機チオ硫酸化合物は「免疫増強や抗がん作用、抗血栓作用もあるといわれ、医薬品への実用化に向けて研究が行われている事も事実です。
幾つかのフードにはニンニクパウダーやニンニクエキスが入っています。
良い一面と悪い一面を天秤にかけると・・・やはり安全策が無難です。危険性がある異常は避けた方が良いと思われます。
③どれだけ食べれば中毒になるか?
「個体差があるので分からない」と言うのが答えだと思います。
1kg辺り15g位という実験結果もあるようですが、それは試験管内で赤血球とチオ硫酸化合物をある条件で反応させた事が根拠の数字です。
それを直接犬の体の現象として当てはめることは無理があります。
タマネギの入った味噌汁ぶっかけご飯を食べても平気なワンちゃんもいれば、焼き鳥のネギマのネギを一個食べただけで症状が出てしまうワンちゃんもいます。また、中毒に陥りやすい犬の特徴もあります→次回に続く。
次は最後です。ここまで来たら・・・最後は相当マニアックです
夜間緊急、日曜祝日も診察対応。日進市の動物病院。アニウェル犬と猫の病院の渡邉でした。