猫用糖尿病治療薬「プロジンク」の特徴について。

2016年05月25日

前回のブログでは猫用糖尿病治療薬「プロジンク」のパンフレットからマーケティング手法を考えてみました。

今回は薬の内容について具体的に説明してみたいと思います。

 

前回のブログはこちら「(猫の糖尿病治療薬とサブリミナル広告)

 

「プロジンクについて」

ベーリンガーインゲルハイムベトメディカジャパンという会社が販売しています

「ベーリンガー」と社名を略されます。

アメリカでは2009年より使われているお薬です。日本に入ってくるまでに時間がかかっていますが、これは毎度のこと。効能と安全性が証明されていると考えましょう。

日本で初の猫用インスリン。(犬用ではありません。)犬でも効用が認められました!!!

プロジンク

画像はプロジンクのパンフレットより

 

「成分」

 ヒトインスリン(遺伝子組換え) 1ml/40IU

 

「何故猫用なのにネコインスリンではないのか?」

 

ベストは「ネコインスリン」を開発することですが、「猫の糖尿病」という限られたシェアの為に薬を一から開発することはコストを考えると難しいとの事。

それならば性質が近い物を利用した方が開発コストを抑えることができ薬品単価も下げることが出来ます。

人医でも同じですが、動物薬でも新薬開発には多額の費用がかかるようです。

体内で作られる「人のインスリン」と「猫のインスリン」は似た構造だと分かっています。

どれくらい似ているかというと、4つのアミノ酸配列が異なる程度。よってほとんど同じ構造ですので効果も期待できます。

 

「何故遺伝子組換えなのか?」

「遺伝子組換え」と聞くと悪い印象があると思います。

過去には動物由来のインスリンが人でも使用されていました。

しかし、動物種差によるアレルギーの発生、抗体の形成(注射したインスリンを無効化してしまう。)牛由来のインスリンはBSE問題の影響。等様々な問題下では安定したインスリンが供給できない状態となっていました。

この問題を解決し安全性と安定した供給を可能にしたのが遺伝子組換え技術です。

食べ物等の括りとは異なり、医薬品という観点で考えてみると良いでしょう。

 

長くなってきたので続きは次回に。

夜間緊急、日曜祝日も診察対応。日進市の動物病院。アニウェル犬と猫の病院の渡邉でした。