犬に付着したマダニを取ってはいけない理由とは。
2015年04月08日
昨日「愛媛大学の学生がマダニに咬まれ発熱した。」というニュースが報道されていました。
三人が咬まれて、二人が発熱した。とのことです。
重症熱性血小板減少症(SFTS)等の疾患で無いこと期待したいです。
マダニが関係する病気に関してはこちらをご覧下さい。
当院では、マダニに刺された場合に「取ろらないで下さい。」と指導しています。
理由は、ピンセット等で取ろうと試みた場合、マダニの口が皮膚に残り、体だけが取れる事が多いからです。
何故、口が残ってしまうのか?
マダニの口には皮膚に固着するための特徴があるからです。
まず、マダニは皮膚を刺す時に、唾液から皮膚を溶解する液体を出します。
そして「鋏角」で皮膚を切り、先端を開きます。
切り開いた皮膚から口下片(こうかへん)を差し込み固定ます。
さらに鋏角を深く伸ばします。続けて口下片も深く突き刺します。
二段階で深く突き刺します。また、「鋏角、口下片」は共にのこぎりの歯のような構造で「返し」のようになっています。食い込んでしまいなかなか取れません。
また、口下片は驚くことに、唾液やセメント様の液体も分泌するため、マダニの口と皮膚が強力に接着されてしまいます。
この固定と接着という二つのプロセスにより強固な「固着」が可能になります。
これらが体をつまんで取ろうとするとマダニの口が残ってしまう理由です。
また、つぶしたり、圧迫したりすると、マダニに吸われた血液と共に病原菌の含まれる可能性がある唾液が体内に逆流してしまいます。
絶対にやめてくださいね。
マダニに咬まれているのを発見したら・・・人の場合はお医者さんへ。動物の場合は動物病院へ受診されることをお勧めします。
しかし、良くできたメカニズムだと思いました。敵ながらあっぱれです。
生物の体には本当に驚かされる仕組みが備わっています。
画像は先日当院にて摘出したマダニの口の画像です。
夜間緊急、日曜祝日も診察対応。日進市の動物病院。アニウェル犬と猫の病院の渡邉でした。