無麻酔の歯石除去はじめません。
2012年04月02日
無麻酔で歯石除去して欲しいという問い合わせがあります。
飼い主様や心疾患、老齢のワンちゃんネコちゃんにとって「無麻酔」は魅力的です。また、見えている歯石を取ることが治療の歯石除去のゴールと考えられている方も多い様です。
それって動物のため?人間のため?なんて考えてしまいます。
確かに歯石自体を除去する事はある程度可能かもしれません。しかし見た目が綺麗になる事は必ずしも歯の健康を維持する事ではありません。歯石除去で大切なことは、見えている歯石だけではなく、歯肉ポケットに隠れている歯石を除去する事であることをご理解頂きたいです。そして歯垢を除去すること、歯の表面が大切な事、正確な歯の評価。これらが如何に大切かは過去のブログを読んで頂ければ分かると思います。
また麻酔は動物が動いてしまう際に起こる事故を防ぎます。歯科処置で用いる道具は先端が尖っている事が少なくなく、不用意に動いてしまう事で傷つけてしまうことも十分考えられます。麻酔時に気管チューブを用いることで、スケーリングで発生した細菌や歯石を誤嚥してしまう事故を防ぎます。また口腔内の正確な検査も可能になります。
飼い主様はご覧になったことがあるのでしょうか?無麻酔でスケーリングをしている場面を。おとなしい性格ならばじっとしているでしょうが、皆さんがそうとは限りません。無麻酔の為に嫌がるのを無理矢理押さえつけられたり、がっつり保定され、見た目だけのために処置を行うことの方が体にとって危険性が高く効果が低いと思うのですが。
このような理由から当院では無麻酔の歯石除去は基本的に行いません。やはり普段お家で行う口腔内ケアの積み重ねが大切だと考えます。
・日本小動物歯科研究会の無麻酔での歯垢・歯石除去についての見解
http://sa-dentalsociety.com/news/dental%20scaling.pdf
・アメリカの獣医歯科学会の意見表明書(英語です)
http://www.avdc.org/statements.html
夜間緊急対応 日曜祝日診察 日進市 アニウェル犬と猫の病院 渡邉でした。