猫の多発性嚢胞腎 (猫 PKD)
2013年01月05日
お正月三が日に食欲、元気がなくなってしまったアメリカンショートヘアねネコちゃんが来院されました。
各種検査の結果、腎臓の機能が著しく低下していることが分かりました。
ただ、年齢が推定五歳位という若さなので、腫瘍性の病変や尿路結石、腎盂腎炎等を考慮してさらに精査を行いました。
超音波で原因が分かりました。
おそらく「多発性嚢胞腎」という疾患でした。(確定はできていません。おそらくの意味は後ほど。)
「多発性嚢胞腎」とは・・・
原因:遺伝性疾患です。腎臓を作っている細胞のタンパク質(PK1遺伝子)の異常が遺伝することによる。また優性遺伝です。両親のどちらかがこの病気に罹患していると50%の確立で遺伝します。
腎臓に液体の入った大小様々な部屋(嚢胞と言います。)が発生します。これらの部屋は腎機能をもっていません。また時間の経過と共にこの嚢胞が増えていき、結果的に慢性腎臓病と同じ状態に陥ります。
好発種類:ペルシャ、スコティッシュホールド、アメリカンショートヘア。雑種でも発生します。
症状:大体七歳くらいになると症状が出てくる事が多いようです。(長い時間をかけて少しずつ進行します。) 元気がない、多飲多尿、体重減少、嘔吐等の慢性腎臓病と同じ症状現れます。
診断:1歳前後から超音波で発見できます。健康な状態でも見つかることがあります。ただ、確定診断は遺伝子検査になります。日本では岩手大学付属動物病院で遺伝子検査を行っています。(先ほどのおそらくの意味はここにあります。)
治療:慢性腎臓病と同じです。状態や症状によりことなりますが、補液、食事療法、活性炭の服用、リン吸着剤の服用、貧血ならばホルモン製剤の投与など。
この病気は遺伝性疾患です。不幸なネコちゃんをこれ以上増やさないためにも安易なブリーディングを控え、PKDに対する正しい知識を広めることが大切だと考えます。
夜間緊急対応 日曜祝日診察 日進市 アニウェル犬と猫の病院 渡邉でした。