猫の口腔内腫瘍(口の中のできもの)と口内炎と抜歯
2012年02月05日
17歳のネコちゃんが、食欲はあるのだけれど口にできものと口内炎があり痛みがあるようです。
食べたくても食べられない状態です。
お薬や注射で痛みを抑え少しでも食べてくれれば・・・と治療をしていたのですが、効果が持続しません。
高齢ということもあり、出来ることと、リスクが隣り合わせになっている状態です。
幾つかの御提案をさせてもらい、飼い主様に選んで頂く形に。
僕からの提案として・・・
①口の中の出来物を摘出。
②口内炎の原因になっている歯を抜歯。
③しばらく食べられない事を予想して食道カテーテルの設置。
④何もしない。
飼い主様には手術の手順や予想される事象、麻酔の危険性を説明しました。
口の痛みを気にしてご飯が食べられない様子と、減っていく体重が飼い主様の気持ちを動かし出来物の摘出手術と食道カテーテルを設置することになりました。
手術では出来物をできるだけ大きな範囲で摘出。また出来物に埋もれていた歯も抜歯しました。
複数の根っこを持つ歯(多根歯)ばかりだったので、抜歯には時間を要しました。
ひどい口内炎の原因になっている歯も抜歯。全部で6本の抜歯術を行い、フラップ(歯のあった場所に穴が空くのでそれを塞ぐ処置)を施しました。
猫の抜歯は犬に比べると少しテクニックが必要です。
歯肉を切開して開きます。歯の根っこを覆っている歯槽骨を削り、歯の根っこをを脱臼させ抜歯します。
抜歯した後の穴が空いている場所を掻爬し歯科用抗生剤を挿入。周囲の粘膜での抜歯した後の穴を塞ぐための蓋を形成し縫合します。
たかが抜歯ですが骨を削る必要があります。人の抜歯とは違い大がかりな物となる事も珍しくありません。
ですのである程度の歯科用設備が無いと本格的な抜歯は難しいかもしれません。
手術したネコちゃんは1週間足らずで食欲も出てきて、食道カテーテルを抜去できるくらいにまで回復しました。今まで食べられなかった分をモリモリ食べて体力を付けてもらいたいです。
夜間緊急、日曜祝日も診察対応。日進市の動物病院。アニウェル犬と猫の病院の渡邉でした。