犬の副腎皮質機能亢進症とは③診断治療編 (クッシング症候群)
2013年06月24日
犬の副腎皮質機能亢進症編も第三回になりました。今回は診断・治療編です。
前回のブログはこちら 「犬の副腎皮質機能亢進症とは②病態・原因編」
犬の副腎皮質機能亢進症の診断と治療についての詳細を説明します。
<診断>
大きく分けると三つの方法あります。それぞれを組み合わせて行うことが多いです。
① 超音波による副腎の大きさを測る検査ACTH刺激試験などのホルモン濃度測定検査
② ACTH刺激試験などのホルモン濃度測定検査
③ CT MRI検査 (できれば)
☆ 当院でも数字の順番で検査致します。また、ホルモン濃度測定検査は確定診断に用います。③ CT MRIに関しては、確定診断後の予後判定や治療に関する選択を迷うときに提案します。費用が高額でなければもう少し積極的に受けて頂きたい検査ではあります。全身麻酔が必須というところもネックです。
☆ ホルモン検査はさらに3種類に分かれています。最初に行う検査は同じなのですが、その後の判定が微妙なときにその他の検査を使います。
<治療>
原因によって異なります。(前回を参照)
「下垂体性」
①内科療法 トリロスタンという薬を服用することにより、ステロイドホルモンの合成を抑えます。このお薬は比較的新しく、副作用が少なく安全性が高いためこの病気の治療に大きな力を発揮してくれます。
下垂体からの命令を減らすお薬もありますが、良くて40%位のワンちゃんにしか効果が無いと言われています。
☆内科療法は薬の効きを確かめるために定期的に血液検査、ホルモン検査等で全身状態を確かめる必要があります。
②外科的療法 大きくなった下垂体を切除する手術を行います。ただ、難易度の高い手術です。手術後は一生ホルモンのお薬を飲む必要があります。また小型犬や短頭種では行うことが出来ません。
③放射線療法 大きくなった下垂体に対して放射線を当てて治療します。出来る施設が限られること。費用が高額なことがネックです。治療後はホルモンの投薬が必要無いと言われています。
◎ 適切に治療すれば、およそ60%位のワンちゃんは3年間生きる事が出来ると言われています。
「副腎腫瘍性」
腫瘍になってしまった副腎を摘出する事が第一選択になります。
しかし、副腎の周りには大きな血管があり、また肝臓やその他臓器に転移している場合もあります。
このような場合は手術は難しいでしょう。手術が難しケースでは内科療法でできるだけ症状を抑える治療が選択されます。
下垂体性・副腎腫瘍性のいずれも正確な診断と、それに応じた治療を行うことでふつうの生活が出来るようになります。
放置しておくと併発疾患により状態が悪くなってしまいますので注意が必要です。
夜間緊急、日曜祝日も診察対応。日進市の動物病院。アニウェル犬と猫の病院の渡邉でした。