外耳炎とマラセチアと皮膚炎について②
2013年10月22日
マラセチアという真菌(カビ)についてのお話。2回目です。
第1回目はこちら「外耳炎とマラセチアと皮膚病①」
マラセチア(Malassezia pachydermatis)は皮膚や耳の中に存在しています。
しかし、一定の条件を満たすことにより異常増殖して病原性を示します。
<増殖する条件>
① 高い湿度
② 脂分が多い場所(マラセチアは脂があると増殖が促進される脂質好性の真菌です。)
③ 32-37℃の温度
④ 併発している皮膚疾患や基礎疾患の有無(免疫力が低下している場所での増殖が顕著です。)
<症状>
「皮膚炎の場合」
継続する痒み。赤み、脱毛、脂漏等。また独特の匂いがあります。
皮膚症状の場合、病変が多くの部位又は全身性に及ぶことがある。
「外耳炎の場合」
耳介の痒み、赤み、茶色又は黒色の耳垢が大量に確認出来る。
足で耳を搔くことによりマラセチアが足に感染する足底皮膚炎が併発していることがあります。
<治療>
抗真菌剤の投与。(ケトコナゾール・イトラコナゾールの服用)
抗真菌剤での薬浴(シャンプー)
併発する基礎疾患の治療も同時の行うことが望ましい。
(同時に細菌性皮膚炎を併発している可能性が高いため抗生物質の投与を必要とすることが多い。)
<その他>
再発はめずらしくない。
治療に時間がかかることも珍しくない。
意外とたちの悪い奴です。
<参考文献>
Eric GUAGUEREほか. A PRACTICAL GUIDE OF CANINE DERMATOLOGY. 岩崎利郎訳. Merial Japan, 2011, 254p.
夜間緊急、日曜祝日も診察対応。日進市の動物病院。アニウェル犬と猫の病院の渡邉でした
画像はマラセチアの大群です。クリックはお勧めしません。