多発性骨髄腫
多発性骨髄腫とは、形質細胞腫瘍の1つで骨髄の形質細胞という免疫を司る細胞が腫瘍化し増殖してしまうもので、血液の悪性腫瘍の1つです。形質細胞の増殖により様々な影響が出てくることが特徴です。発生率は0.3%、血液の悪性腫瘍の約2%を占めます。
多発性骨髄腫の症状
- ・元気がない
- ・跛行(びっこ)
- ・体の痛み
- ・出血傾向
- ・多飲多尿
- ・呼吸が苦しそう
- ・貧血
などがあげられます。
形質細胞腫
形質細胞腫は殆どが分化型の細胞の増殖です。よって過形成性病変と鑑別することは細胞診では困難で病理組織検査が確実です。
細胞と細胞の間質に顕著なアミロイドの沈着を伴う場合があり、細胞診の際に採取できる細胞数が少ない場合もあります。結節状のクロマチンパターンを示す円形核には軽度な大小不同が認められ、多核の細胞も混在しています。核が偏在する好塩基性細胞質には、核周明庭(ゴルジ野)が認められます。核小体は不明瞭です。
診断
多発性骨髄腫の診断
下記の①~④までの項目で2項目以上当てはまる場合多発性骨髄腫と診断します。
- ① モノクローナルガンモパシーの出現(血清蛋白の電気で異常な蛋白検出)
- ② X線検査での骨のパンチアウト像 (骨に虫食いやパンチアウト像が見られる)
- ③ ベンスジョーンズタンパク尿(尿中にベンスジョーンズ蛋白という特殊な蛋白の出現)
- ④ 骨髄中の形質細胞の増殖が5%以上認められる(骨髄検査にて腫瘍細胞の割合が5%以上認められる)
形質細胞腫の診断
形質細胞腫は殆どが分化型の細胞の増殖です。よって過形成性病変と鑑別することは細胞診では困難で病理組織検査が確実です。 細胞と細胞の間質に顕著なアミロイドの沈着を伴う場合があり、細胞診の際に採取できる細胞数が少ない場合もあります。結節状のクロマチンパターンを示す円形核には軽度な大小不同が認められ、多核の細胞も混在しています。核が偏在する好塩基性細胞質には、核周明庭(ゴルジ野)が認められます。核小体は不明瞭です。
治療
多発性骨髄腫の治療
化学療法
メルファランとプレドニゾロンが用いられます。完全寛解率が40-50%、反応率は90%以上であり非常に反応が良い事が特徴です。生存期間の中央値は540日と報告されています。
猫もメルファランとプレドニゾロンによる治療が行われますが、一般に犬に比べると治療成績が悪く、大部分が4ヶ月以内に死亡します。
形質細胞腫の治療
外科治療
形質細胞腫は外科手術を行うことで摘出ができれば予後は良いでしょう。しかし、皮膚、口腔以外での発生では悪性の挙動を取るため、予後は要注意となります。